エヴォーラ400

2015年11月に発売がスタートし今年、デリバリーされたばかりのエヴォーラ400をサーキットインプレッションできる事に感謝。

まず素直に感じる事は乗り降りのしやすさ。従来のロータスではサイドシルの高さが乗り降りを困難にしていたがエヴォーラ400ではスムーズにアプローチできるようになった。

イグニッションを回してエンジンをかけると唸るように迫力あるエキゾースト音が響く。4つある走行モードによりエキゾースト音が変化するんだけど、レースモードではエキサイティングなエキゾーストノートが楽しめる。ちなみにツアーモードは静かで閑静な住宅街でも周囲に迷惑をかけることはなさそうだ。

シートはレザー製で高級感がある。座り心地は武骨なスポーツカーとは一線を画し長距離の走行でも嫌な感じはしない。サーキットでのホールド感には若干不満はあるがフットレストを使う事で横方向のGにも対応できる。ヘルメットを被ってコクピットに入っても圧迫感はなく居住性が高い。2by2という事もストレスを感じさせない理由なのかもしれない。

さすがスポーツカーを作り続けているメーカーらしくメーターの視認性は高い。余計な装飾をすることなく至ってシンプルで様々な情報を得ながら走るサーキットでは丁度良い。

今回、インプレッションしたのは今ではだいぶ少なくなってきた3ペダルのマニュアル。アルミ製ペダルには滑り防止と軽量化を目的としたバーリング加工が施されている辺りがロータスらしい。気になるクラッチペダルは軽くクラッチミートのポイントがとても把握しやすい。市販車ロータスの特長としてブレーキとアクセルのペダル間隔が狭い事があげられるけど、エヴォーラ400のペダルは良い距離感。個人的にはとても操作がしやすかった。

エヴォーラ400は2by2だけあってボディサイズは若干大きい。全長4390mm、全幅はドアミラーを含めると2mくらいある。それでもドライバーの視認性は悪くない。とはいえエヴォーラを手足のように扱うには若干慣れる必要がある。

カタログ上での車両重量は1380kgだが、恐らく日本で登録をする際、車両車重は1440kgくらいにはなるはず。それでも406馬力を発揮するエンジンはパンチのある加速感でパワフルなパワー感が魅力だ。特に3000~7000rpmのエンジンパフォーマンスは運転していてとても気持ちが良い。

エンジンパワーの魅力と共に6速トランスミッションのフィーリングが良い。シフトストロークが短く、ギアの間隔が狭いから素早くスムーズな操作が可能だ。ちなみにシフトの間隔が狭すぎるとシフトワークに慣れが必要だけど、エヴォーラ400のミッションは走り始めて直ぐに違和感がなくなった。さらにステアリングからシフトノブまでの距離も短いのも魅力的だ。

サーキット走行はでは想像以上に温度が高くなるのでスポーツカーにとってブレーキ性能はとても重要。エヴォーラ400はサーキット走行でも十分なパフォーマンスを見せてくれた。車重とエンジンパワーに対してキャパシティオーバーになる事なく安心してコーナーへアプローチができる。ステアリングの応答性が高いのも精神的な安心感につながる。

気になるのはコーナリング性能。コーナーへのアプローチではフロントタイヤの接地感があるので自然と旋回スピードが高くなる。そしてアクセルを踏めばリアにトラクションが載りロスなく加速してくれる。マニュアル車に標準装着されているLSDがMichelin Pilot Super Sportにベストマッチしている。エヴォーラ400のサスペンションはサーキットでの限界域が高いが、ゴツゴツしたいやな硬さではなく旋回に入ると粘る感覚が得られる。サスペンション性能の良さと共に優秀なのがロータスが誇るダイナミックパフォーマンスシステム。恐らくレースモードでも限界域を超えると最終的にESPトラクションコントロールが介入しクルマ側でコントロールしている。現在、サーキット専用マシンのGT3などではデバイスを介入させてコントロールするのは当たりまえの時代なので当然、市販車でも有効なシステムだ。

エヴォーラ400はスポーツカーに特化しているにも関わらず、快適な車内空間や装備など、普段使いのクルマとしても満足できるロータスだ。いままで2シーターでロータスの購入をためらっていた方も選択肢とし十分に考えられる。今回のサーキットインプレッションでエヴォーラ400がロータス史上最高のスポーツカーと言われる意味が理解できた。