A-POWER1月号掲載
文:高野博善
写真:ウイングオート

「乗りやすい」は大小を問わずハマーのDNAなのかも?
小 さ い こ と は い い こ と だ

アメ車にとって、とりわけSUVにとって「デカイ」ということはとても重要である。
フルサイズのSUVを転がすことに大艦巨砲主義的な醍醐味があることはよく知っている。
しかし、「もうちょっと小さければもっとラクなのに!」と思うことが多いのが正直なところ・・・。
ちょっと小さい、ってなんかよくない?
戦場に行くワケじゃないので性能は必要にして十分以上!!
アメ車ユーザーの裾野を広げる役割を担える存在だ

「フルサイズこそアメリカンだ!」
みたいなこ風潮を時として後押しする特集や記事をさんざんやってきた立場にありながら、アメ車にももっと小さなSUVがあればいいのに、という願望は常々抱き続けてきた。

「V8じゃなきゃアメ車じゃねぇ!」などと語る御仁に対しては「いや〜その通りですよぉ!」と諸手を上げて賛同しながら、それを混んだ都内でチョコチョコ転がしてるときなんぞはある種の罪悪感に見舞われることが少なくない。
さらにいうと人気のSUVはどれも値段が高くてとても買えない。
他ページにてハマーH1に触れる機会に恵まれ、ハマーの凄さの一端を垣間見たが、天変地異でも起きない限り私には到底手の届かない金額である。
アメ車オーナー人口の裾野を広げるためにも、もう少しお手ごろな存在のSUVがあれば・・・と願っていたら、なんとハマーのほうから地上に降りてきてくれた!

個人的にH3の登場は拍手喝采モノの大朗報だった。コロラドベース&直5気筒エンジンでガッカリ・・・、などと失望する声を耳にするのも事実だが、個人的にはそんなことはまった気にならない。
H3は乗るたびに好きになる類のとてもイイクルマだと心の底から思っているから。
正直に告白すると私はコロラドというクルマをまったく知らなかった。
H3が登場した時に引き合いに出されてはじめてその名前を知ったので、恥ずかしながら乗ったこともなければ見たこともなく、余計な先入観がなかったことが幸いしたのかもしれない。
だけど、世間一般のほとんどの人はそういう人だろうから、H3は新しくアメ車乗りを増やすことにおおいに貢献してくれそうだ。

とにかくH3は乗り込んでステアリングを握っただけでホッとできるSUVである。
フルサイズ級のように横方向にダダっ広くてフロントの右前がやたらに遠い・・・、というようなことはなく、チョイ乗りの足として使う分にもあまり抵抗がない。
全幅1970mmもあるのは巨大なオーバーフェンダーが付いているせいで、車体そのものはコンパクトと呼べるサイズ。
エンジンルーム内で幅をとらない直列エンジンゆえに前輪舵角がとても大きく、良好な視界と相まって取り回しは大変ラクである。

しっとりとしながらも芯の通った剛性感を伝えるステアリングフィールや、硬質で密度の高い乗り心地を提供してくれるので、最廉価でも450万円というクルマの価値は体で理解できるし、一部で遅いと評されるエンジンも、日本の道路状況下ではなんの不満もない。
ブレーキへの不安を感じることも皆無。
またMTが設定されたグレードが選べるところは本格派の四区乗りにとっても大歓迎すべき要素であるに違いない。

話によれば「ハマーの名に恥じない潜在能力」も与えられているというから、いずれテストしてみよう。

LENGTH:4720mm
WIDTH:1970mm
HIGHT:1910mm
POWER:223ps/5600rpm
TORQUE:31.0kg・m/2800rpm

世界戦略車ゆえにバタ臭さは一掃されたインテリア上。
質感の溢れるステアリングフィールと相まって、安いハマー、などという印象は微塵もない。

3サイズの数値だけを見ればさほどコンパクトであるとは思えないが、運転感覚としてそれを感じさせない。

3460ccのDOHC5気筒エンジン。
圧倒的な迫力はないが、DOHCらしく小気味よく上まで回すことができる。
今となってはむしろ新鮮なフィーリング。

老若男女の誰が見ても「ハマー!」だとわかる顔つき。
となりにH2やH1が並べば威風堂々としたもの。

重量ではH2より700kg以上かるくなっている。
日本人の感覚からすれば2.2トンは立派な重量級だが。

完全にヨーロピアンと化したメーター配置。
守旧派のファンには寂しいが、
初めての人にとっては違和感が少なく好印象。

シートのボリュームは依然としてアメリカン。
それでいて運転環境は国際的。